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しばらく行くと、赤いお堂にたどりついた。
愛染明王が祀られていると、課長が教えた。
「愛敬の佛さま。密教の明王ですね。愛染堂は、縁結びで有名なパワースポットです」
「縁結び……」
二人はそっと手を離し、お参りした。
冬美には、課長が何を願っているのか分かる気がした。
「では、そろそろ下りましょうか。電車の時間にちょうどいい」
「あ、はい」
二人は再び手を取り合い、ロープウェイ乗り場へと戻る。ナチュラルに繋がれたのは手だけではない。
冬美の体は、ぽかぽかした空気に包まれていた。
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