目玉焼き【2】

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翌朝―― 食卓に着いた冬美の前に、熱々の料理が提供された。 「美味しそう~!」 コンロから下ろされたばかりのそれは、じゅうじゅうと音を立てて、冬美の食欲を刺激する。 スキレットで調理されたハムエッグだ。 「はい、コーヒーですよ」 「ありがとうございます。あれっ……」 陽一の姿をあらためて見つめた。 「ちゃんとエプロンを着けるんですね。ふふっ、なんか可愛い」 「可愛い?」 陽一は照れるが、まんざらでもなさそうだ。機嫌よく冬美の向かい側に座る。 「食べてみてください」 「はいっ。いただきま~す」 目玉焼きのとろりとした食感。ハムはぱりぱりと焼けて香ばしい。 調味料は普通の塩胡椒だ。調理器具が変わるだけで、こんなにも味が違うのかと冬美は感心する。 「いかがです?」 「実演最高! キャンプ場にいるみたい」 「そんなにですか?」 冬美の感想は、ますます彼をご機嫌にさせた。 「レタスのサラダとオレンジもどうぞ。冬美さんが食材を用意してくれたので助かりました」 「そんなの、なんてことありませんよ。朝ごはんを作ってもらえて私のほうが幸せです」 ちょうどパンが焼けたので、苺ジャムを塗る。 ジャムは陽一の荷物に入っていた。ちなみにコーヒーセットも彼の持ち物である。学生時代からこれまで一人暮らしだった彼は、毎朝パンを主食にしていたと言う。
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