目玉焼き【1】

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売れ残りの弁当など買ってしまう自分とは価値観が違う。そして肝心なのは食材そのもの。 課長という人は、わざわざ下田まで金目鯛の煮つけを食べに行くようなグルメなのだ。 「安い食材ではダメなんだ、きっと」 卵もレタスも特別な生産地とか農場とか、こだわりがあるだろう。 一斤100円の食パンなど論外だ! 「そうだ! 会社の近くに高級食材のお店があったはず。一度も入ったことないけど……あそこなら課長の口に合う卵やパンがあるかも」 冬美はエコバッグを握りしめると、アパートを飛び出した。
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