満ちる月に囚われて

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透が旅立ってから、3年余り。 独りで待っていられるほど無垢でもなく、信じて待っていられるほど純真でもなかった。 だけど誰と付き合っても、心が満たされることは一度もなくて。 『円、お前さ……俺のこと、好きじゃなかったんだろ?』 気持ちがなかったら付き合ってなんかない。 けれど、その気持ちが相手と同種だったかと問われたら、私は答えられない。 『浮気の原因を相手に押し付けるってどう考えても引く』 寂しさ紛れに付き合った人間か。 それゆえに浮気をしたもう片方か。 本当に最低なのは、どちらだったのだろう。 あの時、透を追いかけていたら、と。 はてない"もしも"に苛まれては追想に耽って、古傷のように疼き続ける寂しさに成す術は未だみつからないままに。 髪はとっくに約束の長さを達している。 それでも迎えに来る気配は一向にない。 涙はもう出尽くした。 期待も時間と共に、ある程度は風化してくれた。 それでも月が満ちる夜は決まって空を仰ぎ、 彼が微笑みながら好きだという煌めきに魅入られては、心の中で繰り返してしまうのだ。 "いつ迎えに来てくれるの" って。 そんな無意味で、答えのない、問いかけを。
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