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ティッシュで鼻をかんでいると臣は頭に手を乗せてくる。
よしよしと撫ではじめるから
「…クリスマス、勝手に帰らないでほしかった」と吐露せずにはいられなかった。
「ムカついてでも我慢して話し合いするものでしょ。それをなんでまた置いて行ったりするのよ。
……置いていかれるのが一番嫌いなのに」
最も伝えたいところだけ、臆病になって声が小さくなる。
だけど、この人にだけは、知ってほしかった。臣だから、分かってほしかった。
「もう置いていかないって約束する」
私の両手を握りながら「絶対もう置いて行ったりしないから」と再度強調した相手は、真剣な面差しで続けざまに言った。
「俺と付き合ってほしい」
「……………」
前とは、明らかに異なる告白。
言われて初めて、はっきりと言葉にしてくれるのを待っていた自分に気付かされる。
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