積和

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積和

初めて積和レンヤを見たのは部室。OBである存在を知っていても挨拶程度で、話すことはなかった。 そのはずなのに、偶然地元でバイクに乗ったレンさんを見かけ、軽い気持ちで声をかけたことが始まりだった。 すっかり意気投合し、レンさんが訪ねてくるときは学校から駅まで送ってもらうようになった。 後輩にご馳走してくれるし、部活中は厳しくない程度にアドバイスくれるし、テストの前は親身になって勉強を教えてくれた。 そんないつもの帰り道、俺と付き合わない?生まれて初めて告白された。友達のようで尊敬できる人から。 レンさんチャラそうだし、私彼氏いるの知ってるでしょー?笑って誤魔化した。レンさんも、ですよねー!と笑って、それ以上は追及してこなかった。 お断りしたものの、とっくにタツヤへの好意はなくなっていた。彼は年上だけど寂しがり屋で、思ったより嫉妬深い人だった。 必死で勉強についていってること、毎日部活で疲れてることを伝えても、俺のために頑張って!それしか言ってくれなかった。 そして女子の割合が少ない学校なのに男子の話題を避けていたら、自ずと話せることが減っていった。 毎日電話をかけてきては、話すことないって言ってるのに、最低3つは話題考えてて、と指示されるのが苦痛でしかなかった。 それよりもレンさんに話を聞いてほしかった。彼は6歳年上で、センスがあり、すごくユーモアがある。私に執着することなく自立していて、16才にしてみれば経験豊富にみえた。 この時の私はあまりにも幼稚で、世間知らずだということを思い知ることになる。
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