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レンさんはいつも唐突にやってくる。基本はバイク、時には車で会いにきてくれた。
タツヤを振ってレンさんと付き合うのは抵抗があったけど、こっそりバイクの後ろに乗り、海沿いや山道を走るのが好きになった。
喫煙者だからいつも煙草の匂いがして、その匂いを嗅ぐと不思議と安心するようになった。彼氏以外と遊ぶことに罪悪感はなく、むしろ楽しかった。
ある夏の日、花火大会に誘われた。家族以外と見る花火は一瞬で終わってしまい、急に名残惜しくなる。
君に振り向いてほしかったけど、今日で誘うのやめるよ、彼氏に悪いし。僕自身もツラくなってきたんだよね。
そう言われると帰りたくなくて、レンさんの手を握る。二人とも歯止めがきかなくなって、気づけば車の中で一夜過ごしてた。
初めてのキスはほろ苦い煙草の味がした。
私は朝帰りを覚え、親にめちゃめちゃ怒られた。
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