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21時を回ってレンさんが迎えにきた。何事もなかったかのように私を車に乗せ、走り出した。ファミレスでいい?どこでもいいよ。レンさんと一緒なら。
彼はニコッと笑いすぐ真顔に戻った。こんな表情する人だったっけ。全く別人に見えた。
そろそろ帰ろうか。え、まだ30分も経ってないのに。そそくさと席を立つレンさんに遅れて追いつきバッグを握ったまま、会計する彼を見つめていた。
素っ気ないのは疲れてるせい、私が笑顔で元気にしてあげよう、そう考え表情を笑顔にしていたときだった。
あのさ、奢るのがイヤな訳じゃないけど、出す素振りは見せたほうがいいよ。
ごめんなさい。いつも奢ってくれるから…財布出さないの癖になってたみたい、あはは…
笑いながら謝罪してしまい、とてもへこんで、状況が飲み込めずにいた。いま、彼は何を考えているのだろう。
別れたいなぁ。車の中で彼は呟いた。
ちょっと待って、なんでそうなるの?悪いとこちゃんと直すから!お願い別れないで!
あー、はいはい。わかったから静かにして。運転に集中できない。
私は気が動転し、自分の声量がコントロールできてなかったようだ。私、ダメ人間だ。
レンさんは私を送り届けると、私の頭をポンポンし、自分の家に帰っていった。
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