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ただ、神宮寺製薬ではこの騒動の裏でコソコソ動いている人物が…
今の皆の注目は御曹司の翔だ。
翔は公造との話の後、不安要因の話は父親である社長にも伝えている。
悪い事や疚しい事は、本人は完璧に隠しているつもりでも、どこかにボロが出るものだ。
新年度には翼が副社長に就く。
それまでには解決し何事もなく引き継げるように動いている。
今回の主犯格は、翔が社長に指摘し降格させられ、辛うじて本社に残っている開発部門の元部長。今は降格して総務部の係長という屈辱を味わっているのだ。
共犯者は、元部下だった開発部門の全く出世できない社員。
ふたりが狙っているものは、治験を終えたばかりの新薬だ。この薬が、商品化されると莫大な利益を得ることが出来る。
世界中のがん患者が待ち望んでいるであろう薬なのだ。同業他社も開発をしているが、中々実を結ばない。
ただ犯人達が上手くデータを盗み出しても、今の日本にこの薬を製造できる会社はないだろう。
きっと、国外にデータを持ち出すつもりなのだ。
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