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そして時刻は8時半。
神宮寺製薬の重役達のフロアの37階。
この階へは、35階の神宮寺製薬の受付を通り案内してもらうか、カードキーをエレベーターに翳すかの方法しか入れない。ヒルズ内のオフィスはセキュリティが厳しいことも魅力のひとつだ。
遥は、派遣会社に事前に届いたカードキーで降り立った。
シーンと静まり返るフロア。
社長室、副社長室、各重役達の個室と秘書室、豪華な応接室に、重役参加の会議に使われる会議室が贅沢な造りで並んでいる。
遥は、目的の扉の前に立つ。
そして本日から遥の服装は、黒のパンツスーツに綺麗な髪は後ろでひとつに束ね大きめの黒縁メガネ。素顔を隠し、端から見ると地味で暗そうに見える。これこそが西園遥なのだ。
洗練された美しい女性の西園寺遥は見事に隠されている。
ただ、人を魅了する西園寺遥のオーラは見る人が見れば気づくかもしれない。
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