神宮寺製薬御曹司

8/8
前へ
/211ページ
次へ
「秘書室には寄られましたか?」 「いえ。こちらに直接伺いました」 「では一度秘書室に顔をだしましょう。案内します」 「はい。よろしくお願い致します」 ふたりは秘書室に向かう。その間、何故か無言のふたり。 『コンコン』とノックと共に「失礼するよ」と声を掛け中に入る翔。 扉のすぐ傍に座っていた女性が慌てて応対する。 「副社長、いかがなされましたか?」 「西園さんが出社されたので顔合わせを」 と副社長に紹介され遥は皆が見える位置へ入っていく。 「西園遥です。よろしくお願い致します」 「「「よろしくお願い致します」」」 「僕は先に部屋に戻るから、一通り説明してくれるかな?」 「承知いたしました」と唯一の男性秘書が返事をする。 副社長が退室。 そして残る秘書達は西園寺カンパニーの所属。 もちろん遥の今の状況を理解している。自分達の社長が派遣されてきたのだが、敢えて口に出す者がいないだけだ。 男性秘書の森口信治(もりぐちしんじ)は、社長秘書兼秘書室長の地位だ。 「西園さん。一通り説明させていただきます」 「お願いします」 特に説明する必要はないのだが、業務的なやり取りをするのだった。
/211ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10440人が本棚に入れています
本棚に追加