タツとの出会い

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 タツの家は街のずーっと西にあり、俺の家は街の中心にあり、小学校と中学校は街の東にあった。だから学校の行き帰りは、タツとずっと一緒だった。  タツは俺の家で宿題をいっしょにやった。字の練習もした。勉強が終わると、俺はタツといっしょにタツの家まで行き、森でターザンのように木の枝や蔓にぶら下がったり、川に入って魚をすくったり、クワガタの幼虫を掘り返したりして遊んだ。  タツと俺は中学卒業以来、進路は違ったが、同じ町で生活し、時間を作って毎日必ず顔を合わせていた。    タツは工業高校の電気科を卒業すると電気工事の仕事に就いた。  俺は普通科の高校から音楽の専門学校を出てフリーランスでパーカッションの仕事をしている。   主にジャスバンドやソロのピアニストと組んで活動しているが、フルートやサックスやバイオリン奏者などに声を掛けられたりもする。  タツの仕事は比較的真夜中に集中している。  地下鉄の配電盤など、日中のメンテナンスは難しい部署を担当するチームに配属されているからだ。  俺の仕事も夜に集中している。  だから俺たちは、たいてい午後2時過ぎから夕方くらいまで、いっしょに過ごす。  メシ食ったり、街をぶらぶらしたり買い物したり、たまに映画を見たり、公園の片隅で話したり。  タツは話すのが苦手だから、いっしょに居る時にもLINEに書き込んで話す。  だから、いつもいっしょに過ごしているけど久しく彼の声を聞いていない。  
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