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鉱石
レジナルド・ギルフォードはその後も学園でのさばり続けた。
つまりラムスプリング侯爵派は
「レジナルドのようなクズのやり口を良しと見做した」
事になる。
(そのうち「ラムスプリング侯爵派」自体が内部からウォルステンホルム侯爵家に乗っ取られて「ウォルステンホルム侯爵派」って呼ばれるようになるのかもね…)
と内心で思ってしまった…。
ラムスプリング侯爵がレジナルドに甘い理由としては…
レジナルドがウォルステンホルム侯爵家の嫡男で
次期ウォルステンホルム侯爵となる事に加えて
「ミュリエル様がレジナルドを気に入ってるから」
というのもあるのだろう。
更に言うなら
「ウォルステンホルム侯爵領から採掘される鉱物にセオフィロス家・グラディス家・シーワード家・セヴァーン家が関心を持っている」
という事情もあるらしい。
だけどレジナルドのようなクズを嫡男として通用させてる点から見ても…
ウォルステンホルム侯爵家は生粋のシャルトル族気質。
「取り込む」つもりが「内側から食い破られて乗っ取られる」ような事態に繋がりかねないし、実際既にそうなりつつあるのかも知れない。
ウォルステンホルム侯爵領で採れる鉱物の一つに放射性物質のモノもある。
【地球世界】でいうウランに該当するようで「ウランガラス」に類するモノを創り出せないものかと検討されているのだそうだ。
夜明け前の空が青い時には大気に紫外線が満ちているのでウランガラスを鑑賞する絶好のタイミング。
紫外線を受けて緑色に発光する様が美しいと言われる。
そういったモノに惹かれる美意識がある人間が一定数存在するという事なのだろう。
その他にもウォルステンホルム侯爵領で採れる鉱石は【地球世界】でいうアレクサンドライトのような太陽光と人工光とでカラーチェンジするモノもある。
インクルージョンタイプの鉱石は時に価値が高いとされる。
インクルージョンーー。
内部に水や空気が入っている宝石はそうじゃないモノよりも壊れやすい。
微小なインクルージョンが変彩効果を発生させる事もあり、壊れやすい筈のモノが纏まりを保っている希少性とあいまって価値が上がると見做されているのだ。
そうした価値の高い鉱石が採掘されているウォルステンホルム侯爵領。
高価な宝石を身に付ける事で超自然的な力に護られるのだという信仰は余りにも見栄張りの拝金主義者達にとって都合が良い。
実質的には金持ちが金を使って社会内でカネを循環させる事による社会活性化が婉曲的に金持ちに恩恵をもたらすだけなのだが…
物質が纏う「雰囲気」という半物質が人間の思い込みによって変調され、実際に思い込み通りの効果が石に付着するといった事も起こる。
美しい輝石が本当に幸運の御守りとしての作用を持ち得るのだから…
我が世の春を謳歌している金持ち達は輝石を手に入れて
「現状維持もしくは更なる繁栄がもたらされる」
という自己暗示を強化しようとするのだろう。
(たかが石、されど石、なんだよな…)
と思って溜息が漏れた。
私としてはウォルステンホルム侯爵家の人達が大人しくラムスプリング侯爵派に取り込まれるようなタマとは思えない。
変に欲を出して
「調伏仕切れないモノを傘下に加える」
事は組織脆弱化の元凶となる。
「インクルージョン」と言えば通常は鉱石の変彩効果や星彩効果を連想するが…
ある種の倒錯した思想に登場する「インクルージョン」は…
「性別や人種、民族や国籍、社会的地位、障害の有無などの属性による排除の無い状態」
いわゆる
「差別の(区別の)ない状態を美化して謳う理想の社会的包括」
を指していた。
インクルーシブ社会推奨思想は、社会において必要な
「自己防衛のための敵排除」機能を
「差別だ!」と歪め卑しめる発想。
つまりはインクルーシブ社会推奨思想は平等主義のフリをした外患誘致。
「特殊侵略を進行中の諜報工作員を補助する二次的諜報工作だ」
と言えるのだ。
集団的自己防衛意識を持つ精神的に健全な人間であれば
「自己防衛意識を差別だ(悪だ)と錯覚させようとする思想」
が人類を狂わせるカルト思想だと察知できる。
ちなみに鉱石のインクルージョンは
「異物の含有量が微小だから割れずに済む」
のだ。
アイデンティティを同じく出来ない敵性人種がウジャウジャ入り込んだ社会に待ち受ける運命は…
「異物の含有量が多過ぎて纏まりを作る事さえかなわない分裂・分断がある」
のみである。
容易く予想がつく結末…。
インクルーシブ社会推奨思想は
「植民地侵略進行中の諜報工作員を補助する二次的諜報工作」。
それと看破する事は難しくない。
そんな工作を行っていた者達はお世辞にも優秀とは言えない。
人々がちゃんと集団的自己防衛意識を持って
「疑う」能力を保持していれば
「騙されるほうがどうかしている」というレベルで幼稚。
なのにーー
識字率も決して低くない筈の社会で多くの人々が騙されていた…。
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