一目惚れほど怖いものはない

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一目惚れほど怖いものはない

「今日は無駄に走ったし寒かったね 先に一緒にお風呂に入ろう」 「・・・は?何言っ、キャ」 抵抗なんて我関せず 私をそのまま抱き上げた彼は 上機嫌で二枚扉を開けて湯気の立ち込めるバスルームに入った そして・・・ バシャーン 「・・・ギャァァ」 そのまま私を落とした 「は?・・・え?」 一瞬何がおこったのか理解が追いつかない 「フフ、可愛い」 そのまま彼も広いバスタブに入ってくると私を抱きしめた 「ほら、おいで」 おいでと呼ぶ割に既に私は腕の中に捕らえられていて 物憂げなアンバーの瞳に囚われた 「うさぎ、泣かないで」 ・・・泣いてないっ ゆっくりと唇が重なった 「・・・っ」 驚きに開いた目の先に 催眠効果でもありそうな琥珀(アンバー)色 啄むようにリップ音を立てては 何度も何度も触れる 離れては「うさぎ」と名前を呼び また離れては「好き」と囁く彼と 驚愕で瞬きも忘れたまま動けない私 「初めてうさぎを見た時 俺は一瞬で君に恋したんだ」 物語の王子様のセリフみたいに物憂げな瞳で甘く囁く 「愛してるよ」 その瞳の色に惹き込まれていく 「・・・んっ」 またゆっくり唇が重なって 今度は舌が唇を割って入ってきた なおも動けない身体は熱いそれから逃れられないばかりか頭がクラクラして息も上手く出来ない 酸素を多く取り込もうと大きく口を開けるたび より深いところまで彼の舌が私を追い込んだ
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