メーデー・メーデー・メーデー

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「うさぎ〜、どこ行ってたのよ〜」 「心配してたのよ?」 友達の渡部文香(わたなべあやか)本城由乃(ほんじょうゆの)がお弁当を開かないまま待っていてくれた 「ごめんね、色々あって」 「なによ、色々って」 「それより食べよう、お昼休み終わっちゃう」 鞄の中からお弁当を取り出して、お喋りもそこそこに急いで食べた 「で、何してたの?」 文香のくれたクッキーを摘んでいると由乃が話を戻した 「えっと、ね?」 午前の授業が終わると同時に回収したノートを運ぶお手伝いに借り出された 保健委員の日誌を届ける用事もあったから快く引き受けたまでは良かった もうすぐ産休に入る小川先生の机にノートを置いて お礼の飴玉を貰って保健室へと移動した 「いらっしゃい」 白衣を着た美人の名本先生に日誌を渡すだけだったのに 脚立に乗った名本先生に 「ごめん、これ受け取って」と 段ボールを受け取ったのが運の尽きだった 「・・・あ」 「ごめーん。うさぎちゃん」 「・・・いえ」 「ちょ、早く脱いで」 段ボールの上に溜まった埃が受け取ったはずみで舞い上がってしまったのだ ・・・やだ 制服にブラシをかけてくれた先生は 校内放送で呼び出されて 「タオルで拭きなさい」 なんて埃まみれの私を放置で行ってしまった ベッドの上に制服のブレザーを置いて髪ゴムと眼鏡を外すと水道の水で顔を洗う 「12月なんですけど」 千切れそうに冷たい水に真っ赤になる手 顔を拭くとタオルを水で濡らして頭の上の埃を拭った やれやれ災難 手の冷たさに身震いしてブレザーを羽織ると 隣のベッドとの仕切りのカーテンが開いた
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