メーデー・メーデー・メーデー

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これまでママの仕事の関係で引越しと転校を繰り返してきた ママはフリーの企業コンサルタントをしている 大体一年契約で仕事を進めるから腰を落ち着けるためにその企業の近くに引っ越す これまで転校が決まるたびに『お婆ちゃんと一緒に暮らす?』って聞かれたけど シングルマザーのママと離れたくないから頑なに拒んできた 例えお友達と長い時間居られなくても ママについて行きたい 転校のたびにお友達が増えると思えば こんなに楽しいことはないと思ってきた 高校を卒業したらアメリカにいるパパの元へ行くことが決まっている だから最後はなるべく一緒にいたい ママと暮らせる最後の年に三学期自習が入るなんて最悪 なんとしても逃げ切らなければ 都合が良いことに琥珀(アンバー)色の瞳の彼は私の素顔を見ただけでいつもの野暮ったい私を知らない 返って好都合じゃないだろうか? 安易に構えていた私は 保健室で名本先生に 『うさぎちゃん』って呼ばれたことも 助けてもらった神楽坂君に素顔を知られたことも (えにし)と呼ばれる彼が生徒会役員ということもスッカリ頭から抜け落ちていた そして・・・放課後 「うさぎってどこ?」 あのアンバーの瞳の彼が教室の入り口に立って口を開いた瞬間 女子の悲鳴が上がるより先に逃げ出した 「捕まえろっ」
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