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・・・ハァ・・・ハァ、ハァ
こんなに走ったのはいつ振りだろう
いつもはローファーなのに
偶々スニーカーを履いた今日、まさかランナー並みに走るとは思わなかった
いつもは通らない裏路地を走りながら頭の中で地図を組み立てる
もう走れないと挫けそうになる気持ちを奮い立たせたのは
『今夜はカレーが食べたい』
と言ったママの笑顔で
こんなところで捕まってたまるか!
自宅マンションまでの道を思い浮かべながら身を潜めて進む道を決める
ヒタヒタと・・・抜き足差し足・・・
呼吸も乱れ過ぎて全然隠れられてない気もするけど
最大限に気配を消しながら、いつもより倍の時間をかけてマンションに到着した
駐輪場のある裏口から鍵を使って通路まで入る
ここまで来たら後は念の為、階段を使って七階まで上がり玄関を入れば逃走完了
生徒会長・・・一体何者だろう
こんな目に遭わせた人物を思い浮かべて頭の中で制裁を加える
クタクタの身体に最後待ち受ける階段
一段一段、手摺りを握りながら七階を目指す
普段何気なく使っているエレベーターに感謝しながらなんとか到着した
ママ一推しの二方向バルコニーに拘った角部屋
ヨタヨタしながら門扉を入れば
「おかえり、うさぎちゃん」
「・・・っ」
頭の中で制裁を加えた彼が玄関扉に寄りかかっていた
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