手繰り寄せた記憶

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手繰り寄せた記憶

「この写真・・・」 「アルバムの写真を携帯電話で撮ってたんだ」 「・・・そっか」 「アルバムは持ち歩けないから」 思い出を大切にしてくれているのが伝わる 「ごめんね、気持ち悪いよね 昔の写真をいつも見ているなんてさ」 悲しい泣き笑いの表情に 気持ちは言葉にしないと伝わらないと思った 「気持ち悪くないよ? アルバムだと持ち歩けないからって同じことを思っただけ」 「・・・ほんと?」 「うん」 「ありがとう、ゆーちゃん」 「全部見て良い?」 「うん。あ、と、それなら アルバム見る?」 「あるの?」 「うん、父さん、お願い」 「あぁ」 尊君のお父さんはベッドサイドの収納棚を開いて大きなアルバムを取り出した 「どうぞ」 「ありがとうございます」 ベッドの横にあるソファに腰掛けて [思い出]と書かれた表紙に触れる 四葉のクローバーが貼り付けられたそれは 四隅が解れていて時の流れを感じた 表紙を開くと白詰草の冠を被った二人が飛び込んできた 「・・・この日」 結婚すると誓った日は プールで溺れて天国と地獄を味わった日でもある そして・・・ たけちゃんの記憶をなくして 会えなくなった日でもある
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