二人の距離

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触れそうで触れられない二人の距離は埋まることなく      今年二十五歳になった 焦っている訳ではないけれど “友達”から一歩進んでも良い頃合いだと思う だから・・・ 気持ちを伝えるに相応しい日を選んだつもりだったんだけど 瞬きだけをしながら依然固まったままの尊君を見て もしかして迷惑だったのかな?なんて不安になってきた 「・・・尊、君?」 「・・・あ、あ、あ、あっ」 尊君は魚みたいに口をパクパクさせながら狼狽えているから やっぱり迷惑だったんだって 気持ちまで段々下がって 仕舞いには俯いてしまった 「迷惑、だった、よね」 ポツリ溢した声と同時に鼻の奥がツンとした このまま消えちゃいたいと唇を噛んだ そんな私の頭の上から 「迷惑じゃないよ・・・ううん 迷惑なんて思う訳ないよ? だって、大好きなゆーちゃんからの告白を僕が嫌なはずない」 尊君の声が降ってきた 「ただね?・・・ 信じられなかったんだ ゆーちゃんが僕を受け入れてくれるなんて、って」 あれから七年も経ったのに まだ気にしてくれている尊君 ぎこちない二人の ぎこちない関係 一歩進めるために 私ができることは・・・
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