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━━━━━━六月
イギリスの古城にあるチャペルは
新婦の好きだというお花で溢れていた
新郎新婦と二人の父親
たった四人の結婚式も
その温かい想いで包まれている
「綺麗だよ、結」
「ありがとう、パパ」
油断すると泣き出しそうで
舌先を少し噛んで堪える
だって・・・
神父様の前で待つ王子様に綺麗な私を見て欲しい
鏡の中の自分に
頑張れと声をかけて立ち上がると
パパの前でドレスを少し持ち上げてお辞儀をした
「さぁ、行こう」
大きな扉の前に立つと音楽が流れ始めた
介助人を引き受けてくれた三原さんが開いた扉から
パパの腕を持って足を進める
バージンロードの先に
優しい眼差しを向けている王子様が見えた
・・・カッコいい
一歩ずつ近づくごとに
頭の中で子供の頃の私が囁くの
『良かったね』って
だから・・・あとは
尊君を想う気持ちを育てながら
未来へ向かって歩むだけ
長い人生
もしもどこかで
立ち止まってしまったとしても
一緒に居ることを諦めない
時間をかけて寄り添った強さを
もう間違えたりしない
病める時も
健やかなる時も
富める時も
貧しき時も
愛し、敬い
慈しみ
二人を死が分かつとも・・・守りぬく
「「I do」」
fin complète
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