初めての感情

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僕はコーヒーを淹れて沙羽の机に置いた。 「はい。」 沙羽がびっくりして顔をあげた。 「お疲れ様。プレゼンいよいよ明日か。準備は終わったんだよな?あと少し、頑張れ。」 それだけ労いの言葉をかけ、子どもにやるように、彼女の頭にぽんと触れた。 それが今の僕の精一杯だった。 「いつも皆さんに支えられて何とかここまでたどり着けました。」 プロジェクトが大詰めで、明日のプレゼンテーションに向けて沙羽は気持ちが昂っているのか、不意に目をつむって上をむいた。
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