偽りマーメイド

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『中西さんっ』 B組の教室の前で待っていた私は、飯塚くんと思われる男子に名前を呼ばれた。 「えっと…飯塚くん?」 『うんっ、一緒に帰ろ?』 どんな人なのかなと思っていたけど、「爽やか系」で人懐っこい人だというのが飯塚くんの印象…。 「あ、うん」 こういう時でも私は、和翔の事を想ってしまう。 今頃、和翔は彼女と帰ってるのかな。 『…ごめんね、いきなり。驚いたよね』 「うん…」 飯塚くんと二人、廊下を歩いているとなぜか視線を感じる。 飯塚くんの事見てるんだろうなぁ。 カッコイイからモテるよね、きっと。 『実はさ、ずっと中西さんの事いいなって思ってて。本田と付き合ってると思ってたから、付き合ってないって知って、同じバレー部の菜香ちゃんに頼んだんだよね』 目を見て話してくれるのは印象が良かった。 一緒にいて落ち着くなぁ…。 「そうだったんだ。私のどこが…」 『んー…やっぱり可愛いところ!!あと、クセ毛なの?ウェーブかかってるのがすごく似合ってる』 「あ…ありがとう…うん、クセ毛なの」
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