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「和翔!!」
和翔の姿は一瞬で消え、私が駆け寄ると下に落ちていった。
「ちょっと!!和翔に何するのよ!!」
下は砂場。
だけど、助かる保障はない。
『これから…だから』
私は崖を降り、和翔の所へ向かった。
和翔!!和翔!!
どうしよう…和翔が死んだら…もう二度と会えなくなるなんて嫌だよ!!
私は、早く走るためにパーカーを脱ぎ捨てた。
「和翔!!」
和翔は仰向けに倒れていて目を瞑っていた。
「和翔!!大丈夫!?」
『…ぁ…ぁ』
和翔は一瞬目を開けたが、すぐに目を閉じた。
「和翔ーー!!」
『ちょっと、避けてくれる?』
私の横にいつの間にか立っていた佐久間さんは『後は私がやるから』と静かに言った。
「ねぇ、何で和翔を突き飛ばしたの!?」
佐久間さんに苛々して、思わず大きな声が出た。
『これは、あなたと和翔を離すため』
「え?……んっ…」
急に後ろから手で口を塞がれた。
「んー…んー…」
『中西さんには何もしないであげてね。そのまま元の場所に連れて行って』
どうやら私は男の人に抱えられ、さっき居た場所に連れていかれるようだ。
「んーー!!」
どんなに叫んでも聞いてもらえず、私は遠くなっていく和翔と佐久間さんを見ていた。
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