偽りマーメイド

3/27
前へ
/27ページ
次へ
話は数日前に遡る。 「むむーっ」 『ど、どうしたの?海姫っ。そんな口尖らせてー』 放課後。 クラスのほとんどが帰ってく中、私は頬杖をつき怒っていた。 「だって、和翔が最近冷たいんだもん」 『あぁ、本田くん?だって付き合ってるわけじゃないんでしょ?一緒に帰れない時だってあるじゃない』 まぁ、まぁ…と友達の菜香(なのか)は慰めてくれているけれど、それでも私の気は済まない。 「うわーん…和翔に会いたいよー」 避けられてるのは何となく気付いてた。 メールでも『帰れない』って言われているし、廊下でも会わない。 登下校も一緒にいたのに。 『海姫と本田くんの関係って変だよねー。二人両想いって感じなのに付き合わないなんてさ』 『あははは』と笑うから「うるさーい!!幼なじみの壁が崩せないんだぁ」…と私は叫んだ。 『ねぇ、あれ』 菜香が窓の外を見ながら一点を見つめている。 「なぁに~?」 『あれ…本田くんと…誰だろ?』 「んー?どうしたの?」 私も菜香の隣に行き下を見た。 ……あ…れ? 何で?何で和翔が女の子と手繋いでるの?
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加