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私のクラスには、同じ小学校の子がいなかった。
当然と言えば当然かもしれない。中学受験をしたのだから。
私と同じ立場の子は多いはずなのに、私の知らないところであっという間に、いくつものグループができていた。
見た目、あか抜け度合い、ノリの良さ、そういうもので構築された、似た者同士のグループがぽこぽこと形成されて、私はいまだにどのグループにも属せていなかった。
私自身、髪の毛は天パーでぐるぐるだし、目つきは悪いし、決して見た目で話しかけられるような人物ではない。自分でもわかっていたのに出遅れた。
せっかくの中学校生活。教室に1人は寂しい。
教室中を改めて見渡してみる。
窓際の席に座って、本を読んでいる女の子が目についた。
1人なのに動じることなく凛としたたたずまいが気になって、私は声をかけた。
その子、美音(みおん)は、ふっと視線を本からもたげ、私を見た。
美音は小学校からクラリネットを吹いていて、吹奏楽部の見学に行くのだと言った。はかなげな見た目とは正反対の、はっきりとした意志の強そうな口調だった。
美音についていったおかげで、私は「すいそうがくぶ」が「吹奏楽部」だと知った。
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