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伸くんに彼女がいる事実については不思議とそんなにショックは受けなかった。
もしかしたら2日間、翔くんと過ごした時間があったからかもしれない。
「ここまで両親と来たんでしょ」
「うん、7時に雷門前で約束してる」
翔くんが時計を見やる。
「もうすぐだね。じゃあそこまで送ってくよ」
翔くんは背中を向ける。
スカイツリーのネオンと橋のハートのきらめきは変わらない。
けれど、さっきより寂しかった。
これで終わり? 終わりでいいの?
ぐるぐるぐるぐる。2日間の思い出が、私の頭の中をかけめぐった。
・・・・・・だめだ。
この2日間を、翔くんと過ごした時間を、なかったことになんてできない。
それから「待って」と私が呼び止めるのと、翔くんが振り返ったのは、ほぼ同時だった。
「何?」「私からでいいの?」「いいよ」
ごくん、と私は大きく唾を飲み込んだ。
「翔くんが、どんなつもりで私と会ってたのかわからないけど、私はね、ほんと言うと、最初は軽い気持ちだったの。友達みんなに彼氏ができて、焦って。特に仲の良い男子もいなかったし。それで思い出したのが、伸くんだったの。あの頃、私は伸くんのことが好きだったんだと思う。でも、今は違う」
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