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できない。
彼氏ができない。
高校2年。
夏休みを控え、私は、自分の部屋で真剣に悩んでいた。
クラスで同じグループの真美と由香里には彼氏がいる。最近は、沙羅にも彼氏ができた。
いないのは、私だけ。
グループの恋バナにもついていけず、私は1人取り残されたような気分になっていた。
何で? どうして?
こんな田舎で、若者の数だって少ないはずなのに恋人なんてものができるの? ましてや両思いだなんて。
みんな告白したり、されたりしてるのに私には何にもない。
告白されるなんて経験は、今まで1回もなかったし、好きな人だってできなかった。
本当に?
いや……好きな人なら1人だけいた。
私の初恋。
幼なじみの伸(のぶ)くん。
伸くんは小学校2年の時に、親の転勤で東京に引っ越してしまった。
それからすぐは手紙のやりとりをしていたが、だんだんとその数は少なくなっていき、ついには途絶えた。
真美たちには笑われた。
「それってほんとに好きだったの?」とか、「相手だってもう忘れてるよ、そんな昔のこと」とか。
その時は、反論するのも何だかむきになっているみたいで恥ずかしくて、ただ笑ってごまかした。
でも、私はほんとに、ほんとにあの当時、伸くんのことが大好きだった。
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