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翔くんを見つめる。
「今、私が好きなのは、翔くんだよ。こんな短い期間でって、思われるかもだし、自分も思うけど、それでも一緒に過ごしてたら、翔くんのこと好きになっちゃった」
喉がカラカラだ。声もかすれている。
早く何か言って欲しい。気まずくて、いてもたってもいられない。
「あーあ、先に言われちゃったな」
目をそらした瞬間、翔くんがやっと声を出した。
どういうことか計りかねて、また私は翔くんを見た。
「女の子に言わせるとか、僕、かっこ悪いね。まさか、そんなこと言われるとは思ってなかったから、びっくりしたよ。でも、うれしかった。僕も新ちゃんのことが好きだよ。新ちゃん、僕のことモテるとか、かっこいいとかほめてくれたけど、全然そんなことなくって」
「だって、ラブレターたくさんもらうとか言ってたじゃん」
「あれ、冗談だから」
「えっ、そうなの?」
「うん、普段は僕、そんな話す方じゃないし。何考えてるのかわからないとかは言われたことはあるけどね。新ちゃんだからだよ。今日の案内だって、あんまり浅草行ったことないから昨日、必死になってリサーチしたし、ここだってそう。恥ずかしいから、あんまりそういうの言いたくなかったんだけどさ」
翔くんが、必死になってスマホとにらめっこしている様子を想像して、私は思わず吹き出してしまった。
「そんな笑わないでよ」
「だって、想像したらおかしいんだもん」
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