「正しい」待ち合わせ術

　翻ってまあさであるが、彼女は本来ならば絶交ものの違反者である。かなちゃんにしてみれば。なぜなら連絡を入れたとは言え、一時間の遅刻なのだから。かなちゃんは二十分前から来ていたのだから、実に一時間二十分をまあさのために浪費したことになる。恐ろしい時間泥棒である。
　しかしまあさのよかったところは、到着してから徹底的に相手に寄り添った点である。自分が合コンのセッティングに奔走したことを息切れによって明確に示し、実際のサンプルとなるイケメンと成功例である自分の彼氏を連れてきて、希望の未来を予測させた。希望の提示。これこそが、良好な人間関係を構築する上で最も重要なファクターの一つである。昨今の政治家に最も欠落しているのもそれである。希望がなければ、結婚はおろか、希望の種である子どもを望めるはずもない。希望のない社会に、繁栄など訪れるわけもないのである。
　話がそれてしまった。いやだから、何が言いたいのかというと、待ち合わせで不愉快になるかならないかは、自分を犠牲にしすぎることなく、いかに相手に寄り添った姿勢を見せていくかということになるのだ。