1人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
どれくらいの時間が経っただろう。でも、とても心地好くて、頭も体も軽かった。鈍い体を脱ぎ捨てたみたいだ。
倒れたまま眠ってしまったらしい。そのお陰か、気分もスッキリとしている。
「……、………」
誰かの声がする。起きないと。きっと部長か専務だ。居眠りなんてバレたら、またペナルティになる。今日だって、お手洗いから戻るのが1分遅れた所為で、5時間の残業になってしまった。次は何を言われるか知れない。
早く、早く起きないと。
「…し…、…も……」
体を起こそうともがくうちに、声が段々と近づいてくる。まずい。こんなところを見られたら。
「…も……、…もしもぉーし!聞こえてまっかー!」
耳慣れない声に、這いつくばる姿勢のまま、恐る恐る顔を上げる。目に映る景色はとてもクリアで、
「おーおー、ようやっとやな。おはようさん!」
「…ーーっ!?」
あまりの恐怖と驚きに、声も出なかった。
鮮明な視界が真っ先に捉えたのは、骸骨に黒いマント姿のコスプレだった。
最初のコメントを投稿しよう!