【きっかけ】

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【きっかけ】

【きっかけ】 俺の父親は弁護士、母親は教育者、そして七歳離れた姉がいる。 俺は何不自由なく裕福に甘やかされて育てられた。 そんな事から俺の自我は少し普通の人と違っていた。 わがままであり、人によく嘘をついていた。 小さな事でもあり得ない作り話をするような子供で… そんな作り話しをひたすら自慢する事が俺の日課となっていた。 嘘をつく、作り話を自慢する、そんな自我を持った俺にある日… 影のような「真っ黒な物体」「それ」が俺をお迎えに来たのだ。 「それ」は神社に潜んでいたのか? 「それ」を迎えてしまったのは… 俺は嘘の作り話を現実に起きたかのように話した事で… 増悪な霊魂である「真っ黒い物体」「それ」を呼び寄せてしまったのか? それとも嘘の作り話から歪んだ俺の自我が創り出したもう一人の俺なのであろうか? 「それ」は音もなく現れ俺のカラダの中に入り込んでいったのだ。 初めに入り込んだ時「それ」は俺の心、気持ちを不安定にさせ… そして次に入り込んだ「それ」は些細な事でも怯え自信を奪い、希望を奪い、絶望を植え付け、俺を支配しているようであった。 いつしか俺は自信も自慢も無縁になっていた。 「それ」をお迎えしたきっかけは… いつも、学校帰りにお菓子を与え友達を神社に誘い自慢話を聞かせていたことから… そんなある日、俺はとんでもない作り話をした… それは… 「おい、誰にも言うなよ…」 「絶対だぞ‥」 「俺は人を殺したことがある…」 『嘘でしょ…』 「本当だ!」 『そんな事をなぜ?』 「俺はこの世の中に存在し神から選ばれた人間だからだ…」 「俺が殺したのは、親せきのガキで…」 「生意気で騒がしくなんせ気にくわなかったからだ…」 「俺の存在は偉大であることをそのガキは理解できなかった…」 「理解できないのはしょうがないが…」 「俺に歯向かったのだ…」 〔お前何様?〕 〔親が弁護士で裕福だからそんな偉そうに…〕 「俺はその言葉に怒りが頂点に発しこのガキを殺すことに決めたのだ!」 『え、たかがそれだけで…人殺し?』 「神である俺のプライドは著しく傷ついた…」 「そんな人間は死しかないのだ!」 「俺はそのガキをどうやって殺そうか考え…た」 友達は恐怖から顔が青ざめ唇が紫色になっていた。 ≪面白くなってきたな…≫ 俺は心の中で呟いた。 「そのガキは俺のプライドをズタズタにした…」 「その罪は重い…」 「痛みを感じてもらわないと…」 「俺はそのガキを切り刻む事に決めた…」 「…」 「すなわち殺傷刑を俺は選択した…」 「まず、飲み物に睡眠薬を入れそのガキを眠らせる‥」 「猿ぐつわを付け椅子に座らせロープで縛る…」 「そして、眠りから覚めたそのガキをサバイバルナイフで切り刻んだ…」 「まずは、脚を切断…」 「夥しい血液が噴出し俺はかなりの返り血を浴びた…」 「かなり痛かっただろうと?」 「そのガキの断末魔は猿ぐつわをしていたのでわずかな声だったよ…」 「へへへ・・・」 「あとは首を切断したことからそのガキは命を失い死んだ…」 「それから腕、胴体を切断して…」 「終了だ…」 「俺のプライドを保つために…」 「この制裁は当たり前なのだ…」 俺は三人の友達にこんな作り話をしていた。 すると友達は恐怖に怯え失禁していた。 俺は「少しやり過ぎたかなぁ?」と感じたが友達にこの話が作り話であると言わないまま… その日、別れたのであった。 すると翌日、人殺しの作り話を聞いた、三人のうちの一人が原因不明の心臓発作で死んだのであった。
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