第九話

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 ☆  二つの雷を受けて、人魚は奇声にも似た叫び声をあげる。水面の揺らぎも激しい。  「咎騎士!」  とクラウスが名前を呼ぶ。咎騎士は、剣を更に深くへ突き刺すために、力を込める。同様に、ゼアロも拳をめり込ませる。その様子を見たセレナは、二丁の銃を人魚へ向けた。  「ゼアロ、避けなさい!」  セレナの声を聴き、すぐにゼアロは人魚から離れた。咎騎士ごと、セレナは人魚を攻撃する。  冷気を込めた何発もの弾丸が放たれる。弾丸が直撃すると同時に、水面ごと人魚を凍てつかせた。人魚は完全に動きを停止していた。勢いよく飛んだゼアロが地面を転がる。顔を上げると、右肩を凍らせた咎騎士がそばで片膝をついていた。  「危ないことをしますね」  「ちっ。仕留め切れなかった」  悔しそうにセレナはつぶやく。  「さて、どうしたものか」
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