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セレナは凍りついた人魚を撃ち抜いた。バラバラに砕けた人魚が、地面に転がると、地震のような大きな揺れが起きた。
「なるほど。本体が消えたことで、この空間が維持できなくなったか。やってくれますね」
クラウスとゼアロが睨み合う中、咎騎士は思考する。しかしそれは一瞬のことで、すぐに口を開いた。
「クラウス、退きますよ。もう用は済みました」
「いいのか、逃して」
「生き埋めはごめんです。皆と合流してここを離れましょう」
「了解だ。正直、疲れたしな」
「待て!」
ゼアロの声だ。咎騎士はゼアロを見つめた。
「ゼアロ。正直言うと、私はあなたを説得できると思っていました。あなたを墓地に利用するのも、本当はずっと後の予定でしたし。あなたのような人間と墓地を守りたかった」
きっと、ゼアロのような人間だから他とは違う魂なのだろう。しかし、それ故に行動を別つことになったのかもしれない。
「ちょっと、ゼアロ。あたしたちも一旦、逃げるわよ。このままじゃ、瓦礫の下敷きになるわ」
「……わかった」
ゼアロとセレナは、咎騎士たちとは違う方向からこの場を去るのだった。
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