第九話

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 ☆  崩壊が始まり、外にいた者たちは動揺を隠せずにいた。オルヴァン公国を束ねるニヴィルは冷静でいることに努めて、兵士に指示を出す。  「中に入った者たちの姿は、まだ確認できないのか!」  「今、確認しました。先ほどの墓荒らしたちがこちらに向かってきております!」  と、筒状の望遠鏡で視認した兵士が答える。墓荒らしたち。セレナとゼアロのことだ。  「咎騎士たちはどうした?」  「別の方から出てきました! こちらに向かう様子はありません。撤収するつもりのようです」  「そうか」  全員無事。内部からの崩壊と仮定するなら、目当てのゴーストは倒せた、ということだろう。  「援軍を送れ。墓荒らしの二人を死なせるな。このまま死なれてはこちらも困る」  「はっ!」  ニヴィルの指示が出るとほぼ同時に、ロージィが駆け出した。兵士の一人が「おい」と制止するが、聞く耳を持たない。  「構わん。好きにさせろ」
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