525人が本棚に入れています
本棚に追加
2ー10 契約者ですか?
「れーたん、あめり?」
俺は、アメリに向かって頷いた。
「そうだ。お前の名前は、アメリ、だ」
「あーり」
そのとき、ぱぁっとアメリの額が輝いた。
なんか、見たこともない紋章が現れている。
「これは!」
イーサンが俺からアメリを引離そうとしたが、アメリは、俺にしがみついてきて離れなかった。
そして。
俺は、眩さに閉じていた目をゆっくりと開いた。
すると、そこには、14、5才くらいの子供に成長したアメリの姿があった。
「レンタロウ!」
「ア、メリ?」
服だった布切れを身に纏いつかせて、アメリは、ほぼ全裸で俺の膝の上に乗って俺のことを見つめていた。
「レンタロウ、俺の契約者」
はい?
俺は、ひっついて離れないアメリを抱いたまま、イーサンの方をうかがった。
イーサンは、俺にくっついているアメリのことをじっと睨み付けている。
なんで?
「神子様、少し、お戯れが過ぎます」
「神子ではない」
アメリは、ふん、とイーサンを横目で見た。
「俺の名前は、アメリ。俺の契約者であるレンタロウがつけてくれた名だ」
「しかし、そのような勝手なことは」
イーサンが言いかけると、アメリは、じろりとイーサンを睨み付けた。
「俺の言葉に歯向かうか?イーサン」
アメリに言われて、イーサンは、ちっと舌打ちした。
ええっ?
この2人、仲が悪い?
俺は、困ってイーさんをうかがいながら、アメリに話しかけた。
「アメリ、いい子だからイーサンの言うことをきいてやれよ、な?」
「ええっ?」
アメリは、嫌そうな顔をしたが、すぐに頷いた。
「レンタロウが望むなら仕方がないな」
アメリは、俺から離れるとイーサンの方へと歩み寄っていった。
すれ違いざま、アメリは、ぼぞっと呟いた。
「いくぞ、長老の犬」
イーサンは、また低く舌打ちしたが、アメリに従うように後に続いた。
俺は、1人取り残された。
なんだか、嫌な予感がする。
なぜか、俺は、背筋に冷たいものが走るのを感じていた。
だが、このときは、まだ、俺は、この後起こる事件のことを知らなかった。
最初のコメントを投稿しよう!