4人が本棚に入れています
本棚に追加
声まで裏返ってて、鬼気迫るものがある。
僕はその日、ずっと笑っていた。
***
そうして、ついに、僕の誕生日がやってきた。
「いよいよだね、ほたるくん」
ハーメルンが言う。僕はドキドキするのを隠せずにいた。
コテージの中は、いつもと少しも変わらない。
もっと派手に『お誕生日おめでとう』って書かれた横断幕とかあるのかと思ったけど、そんなことはなかった。
僕は、正直、がっかりした。
ハーメルンは、そんな僕の心を読んだみたいに言った。
「ご馳走やプレゼントがなくて、がっかりした?」
「うん」
僕は正直に答えた。
正直でいなさい、と、いつもお母さんに言われていたからだ。
途端に、お母さんが恋しくなった。
「おか……ぁ……さん……」
僕は泣き出してしまった。
一度涙が出ると、もうとまらない。
だめだって思うのに、ハーメルンを困らせてしまうから泣き止まなきゃって思うのに、できない。
「ほたるくん」
ハーメルンは、そんな僕を叱るどころか、ぎゅうっと抱きしめてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!