【黄昏のハーメルン】

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そうしないと、せっかくの誕生日も楽しめないぞ。 僕はなんとかそう思い込んで、甘えるお母さんも許そうと思っていた。 だけど、公園にはやっぱり誰も迎えに来ない。 お迎えがないことが、寂しいことだと、認めたら終わりだと思ってはいるけど、やっぱり寂しかった。秋の公園は枯れ葉色で、木枯らしも吹いて、寒くて、寂しくて、泣きだしそうになる。 でも、泣いたら負けだ。 お迎えが来ないのは仕方ない。 お母さんの仕方ない事情だ。 ほたる、我慢しろ。 そう思いながら、僕は決まってボロボロと涙をこぼす。 誰も迎えに来ない。 それが、誰にも愛されていない証拠のようで、僕の心は寂しさで滅茶苦茶に掻きむしられた。 そんなある日だった。 僕に、迎えが来たのだ。 *** 「ほたる君だね。お母さんに頼まれて迎えに来たよ」 それはいつもの公園で、砂場遊びをしているときだった。 僕は、今日は吸血鬼のお父さん役だった。 まだ四時を過ぎたばかりで、砂場メンバーは全員いた。 じゅん君が言った。 「ほたる君にお迎えがくるの、初めてだね。お家のひと?」
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