4人が本棚に入れています
本棚に追加
そうしないと、せっかくの誕生日も楽しめないぞ。
僕はなんとかそう思い込んで、甘えるお母さんも許そうと思っていた。
だけど、公園にはやっぱり誰も迎えに来ない。
お迎えがないことが、寂しいことだと、認めたら終わりだと思ってはいるけど、やっぱり寂しかった。秋の公園は枯れ葉色で、木枯らしも吹いて、寒くて、寂しくて、泣きだしそうになる。
でも、泣いたら負けだ。
お迎えが来ないのは仕方ない。
お母さんの仕方ない事情だ。
ほたる、我慢しろ。
そう思いながら、僕は決まってボロボロと涙をこぼす。
誰も迎えに来ない。
それが、誰にも愛されていない証拠のようで、僕の心は寂しさで滅茶苦茶に掻きむしられた。
そんなある日だった。
僕に、迎えが来たのだ。
***
「ほたる君だね。お母さんに頼まれて迎えに来たよ」
それはいつもの公園で、砂場遊びをしているときだった。
僕は、今日は吸血鬼のお父さん役だった。
まだ四時を過ぎたばかりで、砂場メンバーは全員いた。
じゅん君が言った。
「ほたる君にお迎えがくるの、初めてだね。お家のひと?」
最初のコメントを投稿しよう!