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どこからどう見ても知らないお兄さんだった。
「こちらはお友達かな?俺はね、ほたる君のお母さんに迎えに行くよう頼まれて、来たんだよ」
物腰の柔らかな、やけに綺麗なお兄さんだった。
女の人のような白い肌と、整った目鼻立ちをしていた。
下手をすると人形にでも見えそうな、そんな美しさだった。
お兄さんは僕の頭をさらりと撫でて、言った。
「ほたる君、連れ帰っちゃってもいいかな?おままごとの途中だった?」
さっちゃんが言う。
「ほたる君は吸血鬼のお父さんだから、いなくなったら困るわ」
すると、視界が突然真っ暗になった。
お兄さんが着ていたコートで、僕の姿を隠したのだ。
「お父さんはこのハーメルンが連れていく。君たちはお父さんのいなくなった世界で、新しいお父さんを見つけてくれたまえ」
「はーめるん?」
この声はゆうた君だ。
「お兄さんの名前だよ。ハーメルン。覚えたかい?」
「変な名前!」
皆が笑った。
僕はハーメルンの体があったかくて、いい匂いなので、なんだか眠くなってしまった。
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