4人が本棚に入れています
本棚に追加
それでも、誰かが、僕を迎えに来てくれたことに、興奮していた。
こういうのを、待ってたんだ!
これでいつもひとりぼっちのほたるじゃない!
誰にも愛されてないことなんてない!
お母さんは、こうやって迎えをよこしたじゃないか!
みんな一瞬でハーメルンに懐いた。
そういう、どこか人を惹きつけるところが、ハーメルンにはあった。
子供みたいな、大人の人。
女の人みたいな、男の人。
僕は、
「ハーメルンと一緒に帰る!」と言って、誇らしげに皆に別れを告げた。
ハーメルンは、手を繋いで嬉しそうに僕に微笑みかけた。
その微笑みは、今まで見たどんな微笑みよりも美しい。僕は、そう思ったのだった。
***
「車で帰るの?」
不思議に思って、そう声をかけた。
だって僕の団地はすぐそこだったから。三角公園から歩いて十分もかからない。
なのに車で帰るって、おかしくない?
途端、ハーメルンが知らない人だということがくっきり浮かび上がった。
知らない人について行ってはいけませんよ。
学校の先生はよく言う。
最初のコメントを投稿しよう!