【黄昏のハーメルン】

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がっぽがっぽ、という表現が面白くて、言い方も面白くて、僕は思わず笑ってしまった。 それから僕は、ハーメルンと話しながら、眠くなって、眠ってしまったのだった。 *** 『着いたよ』 と言われて降りた先は、コテージみたいなところだった。 薄暗くてわからないけど、空気が澄んでて、星が綺麗だった。 家はログハウスで、その一軒のほかは、家は見当たらないのだった。 「なんだか寂しいところだね」 「昼になったらそんなこと言わなくなるよ。青い空と紅葉が美しいよ。ここの紅葉は見事なんだ」 翌日、昼間外に出てみると、ハーメルンの言う通り、立派な紅葉の木があった。背は低いけど、葉が大きくて真っ赤だった。葉のどの部分もかけてない、綺麗な葉っぱばかりだった。 僕はお母さんに見せてあげたくて、その一枚を摘み取って、落書き帳にこっそり挟んだ。 高原らしきそこは、他にもすすきが素晴らしかったり、コスモスが綺麗に咲いてたりした。 長い砂利道を、景色を見ながらお兄さんと散歩する日々は、今までで一番のびのびできて、リラックスできた。 「楽しい?」
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