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「金の麦畑がざわざわ風に揺られて、
視線を上げると、青。
それは寂しさのカケラもないようで、強さの後ろにそっと優しさと、淡い淋しさを隠してるんだ。
空に響いていく風鈴は、鐘の音のように澄んでいて、全体を水彩色に染めていく。
空気が止まる。緑が息する。呼吸が止まる。
静止画の、夏は一枚絵のように。
その真ん中に立った少年は、一瞬俯いて、それから、意を決したように見上げる、空。
瞳は強く、強く、空を睨んで。
『何にも負けない強さを』、と、欲しているんだ。」
言葉を紡ぎおわったあと、部屋が一瞬、シン、と静まり返る。
だから、か。
なんだかユラギの言った言葉のひとつひとつが、まるで神聖なもののように思えてくる。
そしてまた、その緊張を解くのも、ユラギ本人。
「ねー?綺麗でしょー?ねー?響は作家なんだし、たまにはこういうのも、読みなよー」
「残念、俺はBL作家だから、可愛い男の子が悪いおにーさんに、調教されたり辱められたり嬲られたりっていう、ドロドロエロエロだけ書いてればいいから、詩的な情景描写とかはいらねーの。」
言い放って、少し呆れ気味に見下ろした。
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