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「メエ。無断で外出してはならないといつも言っているでしょう」
「でも…。たまには外に出たい…」メエは、ぶつくさと訴えた。
「いけません」シスターは、ぴしゃりと言い退けた。「早く席に着きなさい。皆が夕食を待ちわびているのですから」
メエは悲しくなって、うつむいて涙目になった。その時、ふと耳にしたのは、蚊の鳴くような囁き声であった。
「命じなさい…。命じなさい…。その権威を示しなさい…。メエよ…」
メエにはその声がミコから聞こえてきたような気がしてならなかった。だから、途端に面を上げ、表情を明るくした。
「いま、ミコちゃんがしゃべった!!」
「そんなわけないでしょう」シスターは、メエが言うに事欠いて嘘をついているのだと思った。
「ほんとうだもん!ほんとうにミコちゃんがしゃべったの!」
そのようにメエが語勢を強めると、突然にシスターは気圧されたように言葉を呑んだばかりか、苦笑いを浮かべて
「メ…メエがそういうのなら……そうかもしれないわね…」
「そうだよ」メエは、笑ってミコを抱きしめてやると、ミコに尋ねた。「ミコちゃんだってお出かけしたいよね?」
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