福音のはじめ

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福音のはじめ

 神とは、すなわち全知全能である。神が創造に着手するまで、この世のすべては無であった。神とは、すなわち創造主である。その手によって、万物が創造された。神に似せて創られた人類と、そして人類に似せて創られた“力”があった。その力がもうけられたのは、創造を終えた神が長きに渡る休息を求めたからであった。  神は長き眠りに就き、その間、神に代わって世界を見守ったのは、世界を司る“力”であった。いつしかその力は、人類によって“天使”と呼ばれるようになった。天使は、とある使命を帯びていた。それは来たるべき時、神をゆりかごから解き放ち、その威光を再びこの世に顕現(けんげん)させる事であった。ただ、数千年の時を経ても、その使命が果たされる事はなかった。時が流れ、時代は現代へと移り変わったが、それでも天使は待ちわびた。そして遂に、彼らは、神の寝息が途切れるのを聞いた。とうとう目覚めの時である。
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