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雨の夜は苦手だ。
雨の夜はスリップが多いし、視界も悪い。
だけど私が最も苦手なのは偽の被り物をした若者達が大勢集まる夜。
10月31日、酒を大量に浴びた後の馬鹿騒ぎ。
何一つ良いことはない。
仕事が増えるばかり。
「ああ、わかりましたよ、お客さん」
暫くの間口を開けてなかった運転手がまた喋り出した。
「お客さんの職業、お医者さんか看護師さんでしょう?」
運転手はどうやら空気を察して黙ったのではなく、私の職業を考え込んでいたから口を塞いでいたらしい。
「そう、そう。思い出したんですよ、先週お客さんを乗せた日、大きな事故が川橋駅であったんですよね確か、夜の10時15分過ぎ位でしたっけ。あの時お客さん、確か川橋駅付近で降りられましたよね?」
運転手は何故かギラギラした目で私を見てきた。
この運転手見た目は爽やかなのにもしかして、看護婦に邪な気持ちでも持っているのか?
背中に寒気がした。
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