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幼い日に埋めた宝物なんてガラクタだと思う人もいるかもしれない。
けれど、それは私達にとっては今もたから物なのだ。
「ねぇ……お姉さん何してるの?」
「!?」
不意に声をかけられ振り向くと、そこには麦わら帽子をかぶった少年が居た。
Tシャツに短パン、深く麦わら帽子を被った少年は私の掘っている穴を見ている。
私は一瞬とまどったが、すぐに思い直し笑顔で少年に答える。
「タイムカプセルって言ってね、ここに私の大切な物を埋めたの」
「へぇ、僕も見ていい?」
「うん、勿論よ」
そんなやり取りをした後、私はまた作業に集中する。
劣化した記憶のせいか、正確な位置がわからず……
「や、やっとあった……」
結局、私は大きな木の周りを一周するほどに掘り起こしてしまった……
「見つかったの?」
「うん、流石に昔の事だからね、でも見つかって良かったぁ」
土に埋もれていたタイムカプセルの一部が顔を出す。
私は、それを傷つけないように丁寧に掘り起こして行く。
そして……日が沈み、周りの緑を夕日が朱に染めあげる頃、私はようやくタイムカプセルを取り出す。
「……ねぇ、それが宝物?」
「うん、そうだよ」
「それは何?」
「これだよ」
私は少年の前でタイムカプセルを開封してみせる。
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