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しばらくしてミカの部屋へ到着すると、涙でぐしゃぐしゃになった馬鹿が出迎えてくれた。
「ユキちゃん……」
「大丈夫?」
「うん……あの、ごめんね……」
「ん?」
「まずは中に入って……」
バツが悪そうにうつむくミカに首を傾げながら、言われるままに部屋にあがる。
「……?」
部屋の奥へ進むとかぎなれない匂いがする……
そして……
「え……?」
部屋の奥には、首から包丁を生やしている彼が居た。
「ごめんねユキちゃん、彼と"お別れ"はしたけど、まだ"捨て"られてはいないの」
「あ……あ……?」
後ろからいつもの調子の口調のミカの声が聞こえる。
「あ、それとね……」
ゆっくり振り返ると、涙でべたべたの顔のミカが……笑顔で新しい包丁をこちらへ向けている。
「浮気相手、ユキちゃんだったんだね……?」
「あ……」
「そんな酷い事する奴は捨てなきゃいけないから、ユキちゃんも彼と同じように"お別れ"して"捨てる"ね?」
そこに居たのは馬鹿ではなく、歪な笑みを浮かべる狂人だった……
色恋と裏切りが、馬鹿を狂わせたのか……
色恋 END
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