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駅を出て、コンビニでまだ食べていない夕食を買う。
普段は自炊だが、こんな日くらいは良いだろう。
酒も買ったし、あとは自由な時間に癒やされるとしよう。
月と街灯が照らす夜道を歩く。
流石に歩く時は危険なのでイヤホンは外している。
今は人気もなく、車も走っていないこの道だが何があるかわからないしな。
お気に入りの曲が自分の葬送曲になるなんで、少し悪い気がしないでもないが笑えない。
不気味なくらいに静かな道。
まだあちこちの家の灯りはついているのに、不思議と生活の音は聞こえない。
もっとも、こんな夜更けに大きな音をたてては通報されるだろうが。
そうこうして、夜の道に様々な想いを馳せていると愛しの我が家が見えてきた。
通路が外にむき出しで柵をしてあるだけの古い二階建てのアパート。
それが愛しの我が家。
金が無いわけではないが、趣味に金をかけたい自分は安い家賃の手狭な一部屋で十分なのだ。
錆びついた鉄製の階段をカンカンと音をたててあがれば、その奥が自分の部屋……ん?
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