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夜道で黒猫を見かけてそれとなく気にしながら歩いていると、それが近づいた時にそれが黒猫なんかではない事に気づく。
それは、黒髪の少女の生首で、生首は恐怖でたちすくむ主人公にけたけたと笑ってみせた。
こんな内容だったはず。
なら、無関心でいれば大丈夫?
少々馬鹿げていると思いながら、あえて意識しないように夜道を進む。
そしてそんな中、もう一つの話を思い出す。
黒猫だと思って追いかけると、それは何と……
ただの黒いゴミ袋だったというパターンだ。
それはそれで笑える話だが、私を待っているのはどちらのパターンだろうか。
移動してから動かない黒い塊まで、徐々に距離が狭まってくる。
化け物かゴミ袋か、どっちだ!?
と、
「にゃ〜ん」
その鳴き声に視線を落とすと、そこに居たのは……
本当にただの黒猫だった。
「何だおどかさないでよ……」
こちらを見つめて鳴いている猫に苦笑しながらそう言うと、黒猫は私の目の前を横切って逃げてしまう。
まあ、所詮作り話よね。
そう自嘲しながら、私はある迷信を思い出す。
夜道で黒猫が横切ったら三歩下がれというものだ。
何でも昔は黒猫は不吉の象徴だったとか……
ここまでビクビクしていたし、どうせならこれもと後ろに下がってみる。
一歩
二歩
三歩
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