夜顔の告白

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□□□□□□□□□□  「ごめんねサナ、なかなか来れなくて」 「ううん、大丈夫。待ってた……」 今夜は彼が私の所に帰ってきてくれた。 夜顔の所に…… 「今日は君に渡したい物があるんだ」 「え……?これって……」 「少し気が早いけど、これが僕の気持ちだよ」 彼が取り出したのは指輪だった…… 「妻はまだ見つかってはいないが……きっと帰ってはこないだろう……」 「そうかしら……」 「部屋の荷物もほとんどなくなっているんだ。警察も事件性は無さそうだって……これで、離婚届でも置いていってくれたら良かったのに」 うなだれる彼の背にはりつき、ある疑問を尋ねる。 「私の……夜顔の事を知っていたのかしら?」 「それはないと思う。居なくなる寸前まで僕を笑顔で送り出していたから……」 「朝顔は消えちゃったのね……」 「ああ……ついに枯れたのかもな……」 「私も枯れちゃうのかしら?」 「いいや、君はこれからずっと僕といてくれるんだろ?夜顔は朝顔にもなるんだよ……」
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