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「ごめんねサナ、なかなか来れなくて」
「ううん、大丈夫。待ってた……」
今夜は彼が私の所に帰ってきてくれた。
夜顔の所に……
「今日は君に渡したい物があるんだ」
「え……?これって……」
「少し気が早いけど、これが僕の気持ちだよ」
彼が取り出したのは指輪だった……
「妻はまだ見つかってはいないが……きっと帰ってはこないだろう……」
「そうかしら……」
「部屋の荷物もほとんどなくなっているんだ。警察も事件性は無さそうだって……これで、離婚届でも置いていってくれたら良かったのに」
うなだれる彼の背にはりつき、ある疑問を尋ねる。
「私の……夜顔の事を知っていたのかしら?」
「それはないと思う。居なくなる寸前まで僕を笑顔で送り出していたから……」
「朝顔は消えちゃったのね……」
「ああ……ついに枯れたのかもな……」
「私も枯れちゃうのかしら?」
「いいや、君はこれからずっと僕といてくれるんだろ?夜顔は朝顔にもなるんだよ……」
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