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当然ながら翌朝は最悪だった。抜けるような青空がうらめしい。どうせなら雨が降ってほしかった。
「パパ、公園に行こうよぉ。約束したでしょ」
「無理。具合が悪いからママと遊んどいて」
優菜の元気な声に頭が割れそうで、俺は布団を被った。
完全に二日酔いだ。
「ねえ優司くん。ほんとに行かないの?」
菜々子が溜め息を挟みながら、あきれたような声を投げる。
布団を被っているから見えないが、不機嫌そうな彼女の顔が容易に想像できた。菜々子はまったく酒を飲まない。だから二日酔いの辛さがわからないのだ。
「頭が痛いんだよ」
二日酔いは時間が薬だ。動くことすら億劫で、俺は布団から出ることもできず、横になったまま菜々子に訴える。
「いい加減なんだから。いいよ、もう」
菜々子の声に棘を感じた。
「いやだ。パパがいい。パパ、行こうよぉ」
よほど楽しみにしていたのだろう、優菜が布団にしがみつく。
「わかった。来週はぜったい行く。約束するから」
「いやだ。今日! 今日がいい!」
「パパは病気なの。だから置いて行こう」
菜々子の言葉が胸に刺さったが、気分は最悪だった。こんな状態で行けるわけない。ぐっと吐き気を堪えた。
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